こども虐待と人権擁護 : 虐待予防の方略

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  • コドモ ギャクタイ ト ジンケン ヨウゴ ギャクタイ ヨボウ ノ ホウリャク

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抄録

I. はじめに : 近年、社会問題として子ども虐待がクローズアップされており、児童相談所への相談件数は年々増加している。図1に示すように、2009年の相談件数は40,639件と、統計を取り始めた1990年の相談件数(1,101件)を基準にすると、約37倍へと激増している。また、死亡事例の検証報告書によると、死亡例は2007年1月から2008年3月の間で78人であり、そのうち47.4%、およそ5割が0歳児である。このような子ども虐待は、少子化や核家族化の進展と無関係ではない。親の孤立が深刻化する中、乳幼児との接触の減少、子育て伝承の欠如、さらには地域社会における子育て支援力の低下とともに、育児不安や育児困難感を抱える親が急増した。これらの親すべてが、わが子を虐待するわけではないものの、必要な援助がなされないままに種々の困難な要因が絡まると、虐待にまでエスカレートする危険性が高まることが指摘されている。このように、子ども虐待社会からの逸脱した特別な家庭のみに限定された行為ではなく、普通の暮らしの中で多くが発生している。……

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