消費のサービス化とクレジットカードの普及

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タイトル別名
  • Trend toward consumption of services and credit card spread
  • ショウヒ ノ サービスカ ト クレジット カード ノ フキュウ

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説明

消費者がクレジットカードローンによる借入を増大させた要因は、端的に言えばアメリカ人のサービス支出の増加であり、このサービス支出の決済にはクレジットカードが使われることが多いのである。クレジットカードローンは、消費者信用の一分野であり、旅行や娯楽といったサービスの購入を端緒として発展してきた。現代の消費支出は、生活水準の向上、サービス経済化や安価な財の輸入により住宅、医療、教育、レジャー等、サービスへの支出が増加している。消費支出の割合は物財よりもサービスが多くなる傾向にあり、消費のサービス化が進んでいる。所得階層別の支出の変化を観ることで、中・低所得層にとって負担となっている支出項目が明らかとなり、それを、中・低所得層のクレジットカードローンの利用する支出目的と照合することで、サービス支出の増加がクレジットカードローンを増加させた原因であることが明らかとなる。一方で、銀行は法的規制がなかったため、消費支出のカービス化に先行して1958年から1970年の間に1億枚ものクレジットカードを返済能力の審査もなく配布していた。消費支出が増加した項目は、クレジットカードによる決済が多いことを分析する。所得階層別の消費支出の変化とクレジットカードローンの設定理由から中・低所得層が消費者信用に依存する支出項目が明らかとなる。このように、消費のサービス化による家計のサービス支出の増大が、クレジットカードの第1の需要要因である。さらに、新自由主義の影響もあり金融行政は、信用の需要者である消費者保護から信用の生産者側である金融機関のビジネス支援へと変容した。金融機関は顧客を獲得するために借り入れを容易にしたことが、クレジットカードローンを普及させる第2の要因である。

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