経済政策としてのベーシック・インカム : ICT化・グローバル化と資本制の「危機」

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  • ケイザイ セイサク トシテノ ベーシック インカム ICT カ グローバル カ ト シホンセイ ノ キキ

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英米の中央銀行の金利は十年来、大恐慌期以来の水準に低迷している。低金利やマイナス金利によって経済成長が演出されていることから、今回の危機は見えなくなってしまっているが、資本制にとりおよそ百年ぶりの危機であることに変わりはない。その一方でイノベーションという語句があまりにも振り回されて事態を錯覚させているが、この間の経済成長は株高に支えられた実態に乏しいものであり、富の偏在は需要の決定的な不足となって資本制は行き詰まりつつある。金融政策による対処はもはや限界であり、このまま続ければ銀行システムが持たないが、止めれば失業の増大が抑えられなくなり、危機が表面化することから続けられている。ケインズ主義政策に代わる根本的に新しいアプローチが必要であり、救貧政策としてではなく、通常の経済政策としてベーシック・インカムを導入するほかないであろう。

The policy rates of Bank of England and FRB have been historically low. There has not been such a large-scale crisis since 1930s. However, today’s crisis is invisible, for economic growth is generated by low or minus interest rates. Economic growth, which has been supported by income effect of high stock prices, brings about the inequitable distribution of wealth. This widening income gap causes a critical lack of demand that brings the crisis. It is impossible to manage this crisis through monetary policy anymore. If we leave current interest rates unchanged, the banking systems will go bankrupt. It is high time that we adopted universal basic income as an ordinary economic policy, not as a pro-poor policy.

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