<論文>映画興行と映倫改組 --太陽族映画問題をめぐって--

書誌事項

タイトル別名
  • <Articles>Film Exihibition and the Reorganization of the Eirin
  • 映画興行と映倫改組 : 太陽族映画問題をめぐって
  • エイガ コウギョウ ト エイリンカイソ : タイヨウゾク エイガ モンダイ オ メグッテ

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説明

本稿は山本明コレクションの興行に関わる資料によって, 映倫改組をめぐる興行界の動きを明らかにすることを目的としている。1956年に立て続けに公開された「太陽族映画」によって映画規制の動きが活性化するが, 映倫が第三者機関として再編されたことによって, 「検閲」の復活は回避された。太陽族映画は映倫による「成人向」指定を受けていたにもかかわらず, 青少年への影響が問題視された。保護者同伴ならば未成年でも鑑賞可という規定であった「成人向」は, 興行の場において徹底されておらず, 「成人向」と「青少年映画委員会推薦」が併映されることもあり, 太陽族映画をめぐる問題の根幹には, 製作・配給会社, 興行館, 映倫の連携が取れていない映画業界の問題があった。映画規制の動きに対して, 行政の介入を直接受ける可能性のあった興行界は, 青少年の観覧禁止の徹底に乗り出す。一方, 第三者機関として再編された新映倫は, 映画業界に青少年対策の協力を要請するとともに, 政府や報道機関などに業界の自主規制を繰り返しアピールし, 社会的な役割を果たしていった。興行界において自主規制の意識が高まることによって, 新映倫の存在意義が浸透していったのである。

収録刊行物

  • 人文學報

    人文學報 116 69-83, 2021-03-31

    京都大學人文科學研究所

参考文献 (28)*注記

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