国際NGOとローカルNGOにおけるパートナーシップとオーナーシップの考察 : シエラレオネの教育開発を事例として

DOI 機関リポジトリ Web Site

書誌事項

タイトル別名
  • コクサイ NGO ト ローカル NGO ニ オケル パートナーシップ ト オーナーシップ ノ コウサツ : シエラレオネ ノ キョウイク カイハツ オ ジレイ ト シテ
  • Examining Ownership and Attempts to Achieve a Good Partnership between International and Local NGOs : the Case of the Development of Education in Sierra Leone

この論文をさがす

抄録

type:Article

本稿は、現地調査を基にシエラレオネの教育開発における国際NGOとローカルNGOの役割と関係性を検証し、近年国際社会で強調されている開発における「良いパートナーシップ」とは何か、そして「パートナーシップ」はレトリックを超えて実際に構築されているのかについて考察する。最貧国であるシエラレオネは今なお初等教育完全普及においてアクセス、教育の質、公平性の面で大きな課題を抱えている。国連ミレニアム開発目標に沿って策定された貧困削減戦略文書が開発における市民社会組織の参加を推進しているのに加え、紛争後国の政府が教育サービスを提供する行政・財政能力が弱いこともあり、NGOは教育開発分野において大いに貢献している。NGOの活動は学校校舎の建設と再建、教材の提供、教員養成支援にとどまらず、地域コミュニティで社会的弱者への教育の重要性や人権の認識を高める啓蒙活動などにも及ぶ。ローカルNGOがコミュニティの人達のニーズの特定に強みを持つ一方、国際NGOは安定した財政基盤があるため、両者が協働することにより、コミュニティのニーズを反映した活動をより多くの人を対象として展開できる。また本稿は、本研究が調査対象としたNGOが「パートナーシップ」についての概念としては理解していたものの、ローカルNGOの国際NGOへの資金依存は彼らのプロジェクトにおける「オーナーシップ」確立と国際NGOとの「良いパートナーシップ」構築に影を落とし得ることを明らかにした。しかし、その一方でローカルNGOが自律性、自信、プロフェッショナリズムといった真の対話とパートナーシップ構築に必要な側面を一定程度持ち合わせていることを挙げ、本稿は、ローカルNGOの能力強化こそが、ローカルNGOと国際NGOが「良いパートナーシップ」を構築する上での鍵となると論じる。「より良いパートナーシップ」を築いた上での彼らの活動は、地域のコミュニティの声をより反映しより効果的なものにし、その成果はコミュニティにとって持続可能なものになるであろう。

This paper examines the roles and relationships concerning donor and recipient Non-governmental Organizations (NGOs) in the provision of education in Sierra Leone. Since the post-conflict government’s capacity to provide educational services remains weak, international and local NGOs have greatly contributed to the development of education. As local NGOs can identify the grassroots needs and international NGOs have a strong financial basis, collaborative work between them can reach more people and reflect the needs of local people more than would otherwise be the case. This study argues that although the financial dependency of local NGOs is a constraint on establishing “ownership” on the part of aid recipients, their relationship shows some indications of improvements, particularly in terms of local NGOs’ gaining some autonomy, confidence and professionalism, which are necessary for achieving genuine dialogue and partnership with the international NGO. This study is based on the author’s field research which involved interviews with, and questionnaires completed by the international and local NGOs.

収録刊行物

キーワード

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ