ブラジルの金型産業・金型産業集積のはじまりと発展 : ジョインヴィレメカニズムについて
書誌事項
- タイトル別名
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- Genesis and Progress of the Brazilian Die/Mold Industry and Clusters : Joinville Mechanism
- ブラジル ノ カナガタ サンギョウ ・ カナガタ サンギョウ シュウセキ ノ ハジマリ ト ハッテン : ジョインヴィレメカニズム ニ ツイテ
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説明
本稿の目的はブラジル金型産業の現状と創始メカニズムを探ることである。特にブラジル地場金型産業最大の集積地であるジョインヴィレに着目してブラジル金型産業・集積の創始・発展メカニズムを考察し,これをジョインヴィレメカニズムと名付けた。 金型はほとんどの大量生産産業に必要不可欠なツールである。自動車の研究開発,大量生産でも,優秀な金型産業が国内に存在するかどうかは非常に重要である。自動車を構成部品数万点のほとんどで金型が用いられて製造されており,一つの部品を製造するために複数の金型を用いる場合も多い。ブラジルは今日世界トップ10以内にランクされる自動車生産大国・自動車需要国となった。ブラジルには大きな金型需要が存在する。 ブラジルで最も金型企業立地が多いのがサン・パウロ州であり約1000社の様々な国籍の金型企業が操業している。特に金型企業が集積しているのがサン・パウロABCD地域であり約400社の金型メーカーが立地している。ブラジルの地場金型企業の集積として最も規模が大きいのがサンタ・カタリーナ州であり,約450社の金型企業が操業している。その中心地がジョインヴィレである。ジョインヴィレには約300社の金型メーカーが立地しており,ほとんどがドイツ系ブラジル人によるものである。ブラジル資本金型企業による金型産業集積としてジョインヴィレと双璧をなすのが,リオ・デ・グランド・スル州のカシアス・ド・スルである。リオ・デ・グランド・スル州には約380社の金型企業が操業している。カシアス・ド・スルおよびその周辺には約300社の金型メーカーが立地しており,ほとんどがイタリア系ブラジル人によるものである。 サンパウロABCD地域では進出した外資系自動車メーカーや自動車部品メーカーの母国・拠点国からほぼすべての金型を輸入調達した。やがて自動車メーカーや自動車部品メーカーで金型を内製し始め,そのうち国内調達もなされるようになった。 ジョインヴィレでは以下の経路により金型集積が生まれ発展・形成されていった。1.金型需要企業により外国から金型を輸入調達(1930〜70年代),2.金型需要企業による金型内製開始(1930〜70年代),3.それらの金型内製部門からスピンアウトした技術者が金型企業を創始(1970~80年代),4.スピンアウトした金型企業ははじめは金型メンテナンスや金型部品を製造していた(1970~80年代),5.やがて彼らは製造学習の中で金型技術を蓄積し金型本体も製作するようになった。(1970~80年代),6.金型需要拡大とともにそれらの金型企業からスピンアウトした技術者が自らの金型企業を創始し4~5の経路をたどる(1990~2000年代)。このようにしてジョインヴィレの金型産業集積が誕生し発展・拡大していったのである。
収録刊行物
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- 経済志林
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経済志林 88 (4), 333-361, 2021-03-20
法政大学経済学部学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390009225606856064
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- NII論文ID
- 120007125908
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- NII書誌ID
- AN00071028
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- HANDLE
- 10114/00024157
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- NDL書誌ID
- 031395901
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- ISSN
- 00229741
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- 本文言語コード
- ja
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- 資料種別
- departmental bulletin paper
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- データソース種別
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- JaLC
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