琉球政府の職場組織について

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タイトル別名
  • On the Workplace Organization of the Government of the Ryukyu Islands
  • リュウキュウ セイフ ノ ショクバ ソシキ ニ ツイテ

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抄録

本稿は、琉球政府の公務員制度に焦点を当てつつ、住民による統治機構の職場組織の特徴を描き出すことを目的とする。政策決定過程や政策執行過程などにおける琉球政府職員の「活動」の研究ではなく、琉球政府職員の活動が、どのような組織や人事の仕組みの中で行われていたのかを明らかにする。米国施政権下の琉球政府公務員制度の分析を通して、琉球列島の政治・行政の研究の空白を埋めるだけでなく、今後の琉球政府の「活動」分析の予備的作業の一環として位置づけられる。1952年に設立された琉球政府の公務員制度の特徴は、局長などの上級幹部職を政治的任命職にしたことに加えて、職階制にもとづく(理念的には)開放型制度を採用したことである。その運用の\n実態として、琉球政府の職場組織は「大部屋」であった。職階制が実施されていたのにもかかわらず、欧米でみられるような「個室主義」の勤務形態ではなく、日本型の「大部屋主義」により執務が行われていた。琉球政府の公務員制度は職場組織の視点からは以下のように整理できる。第一は、職階制に基づく「職級明細書」および「職務記述書」により各人の仕事の大枠が決まっていたのにもかかわらず、「大部屋」での執務だったため、職員がおたがいの仕事をカバーし合っていた。第二は、おたがいに仕事をカバーし合っていたこともあり、職員個々の「能力」評価の基準が判然としなかった。第三は、職員の評価基準に、人間性、人柄など「大部屋主義」のそれと同様な基準が存在していたと考えられることである。

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