ニック・リグルにおける「ストリートアート」と「社会的開放」の理論:「アートプロジェクト」の美的評価―その理論的モデルを求めて

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タイトル別名
  • ニック リグル ニ オケル ストリート アート ト シャカイテキ カイホウ ノ リロン アート プロジェクト ノ ビテキ ヒョウカ ソノ リロンテキ モデル ヲ モトメテ
  • ニック ・ リグル ニ オケル 「 ストリートアート 」 ト 「 シャカイテキ カイホウ 」 ノ リロン : 「 アートプロジェクト 」 ノ ビテキ ヒョウカ : ソノ リロンテキ モデル オ モトメテ

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説明

本稿は、英語圏の哲学的美学、具体的にはニック・リグルによる二つの議論、すなわち、ストリートアートの定義と、倫理的-美的価値としての「awesome」の分析を参照して、これらの議論からアートプロジェクトの美的経験および美的価値についての理論的知見を得ることを試みる。リグルはストリートアートを、人々の生活の空間としての「ストリート」を素材とすることが内在的価値を持つ芸術として定義しており、これをふまえると、アートプロジェクトは、生活の空間と「アートワールド」の接触と交渉のプロセスとして理解できる。またリグルは、やはり人々の生活の空間において規範や役割から逸脱して個性を他者に示すことを「社会的開放」と呼び、これが他者によってやはり「社会的開放」を通じて受け入れられるという、「社会的開放」の相互享受の倫理的-美的価値に「awesomeness」という名称を与えており、その事例には「リレーショナルアート」や「ダイアロジカルアート」などの芸術実践によるコミュニティの形成も含めている。こうした「awesomeness」の理論からは、アートプロジェクトに参画している人々だけではなく、プロジェクトを観察し評価する主体も「社会的開放」を実践することが求められると理解される。

収録刊行物

  • Co*Design

    Co*Design 10 53-71, 2021-07-31

    大阪大学COデザインセンター

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