Illness Management and Recoveryプログラムの諸外国の研究成果と日本への導入の意義

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タイトル別名
  • The result of study on Illness Management and Recovery program and significance of its introduction to Japan
  • Illness Management and Recovery プログラム ノ ショ ガイコク ノ ケンキュウ セイカ ト ニホン エ ノ ドウニュウ ノ イギ

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抄録

IMR(Illness Management and Recovery)(以下IMR)は、アメリカ連邦政府のEBP実施・普及ツールキット、連邦保健省薬物依存精神保健サービス部(SAMHSA)が科学的根拠にもとづく実践(EBP;Evidence Practices)の実施・普及のために作成された各種支援ツールをまとめたものの一部である(大島2009)。EBPツールキットの開発経緯の背景には、家族心理教育など科学的根拠にもとづく実践(EBP)と呼ばれる心理社会的介入プログラムが、優れた効果を発揮するにも関わらず、臨床の場では用いられてはいない世界共通の現状があった。EBPツール活用に際しては、病院組織や地域ケア体制などのシステムを変更する必要があり、包括的に全体を捉え支援体制を組む事が求められる。IMR疾病管理とリカバリーの中心となるプログラムの内容は、心理教育、再発防止、服薬管理行動的な調整、精神症状に対処するための認知行動的な方法となっている。これらのランダム化比較臨床研究が、アメリカ、イギリス、ドイツ、カナダなど広範囲の人種や民族に対して実施されてきた。IMRの対象者は、性別を問わず、研究の対象地域は、都市部、地方都市を問わず、入院治療を受ける患者、外来治療を受けているものの全体を包括した。研究対象者の年齢は18歳から67歳までを含み、平均年齢は40歳前後であった。IMR研究では、人種、性別、地理的条件、年齢、入院・外来の区別はIMRの構成要素に異なる効果をもたらすことを示す科学的根拠は存在しない。この研究成果に関しては、CINAHL、MEDLAINを用いて検索を行った結果、諸外国における研究報告は20本弱と少ないが、それぞれの国で助成研究がなされ導入の過程にあり、今後ますます多く研究報告がなされると考えることができる。これに対して、日本では、平成16年にとりまとめられた精神医療福祉の改革ビジョンに基づき、入院医療中心から地域生活中心へと退院促進が政策として取り組まれてきた。精神障害者は個別的な退院支援を受けるが、それは画一的であり、個別性に乏しい傾向があった。日本における地域リハビリテーション技術は変換期にあり、精神障害者が、自分自身の生きる意味や夢、将来の目標を持てるよう働きかけられる専門職者の養成が急務である。日本へのEBPプログラムの導入は、EBPプログラム作成者であるRAPP教授から日本精神障害者リハビリテーション学会へ紹介されたのが導入のきっかけであった。本研究では、EBPプログラムのなかのIMRプログラムに焦点を当て、現在の日本での導入の状況とその効果の検証がどの程度なされているのかを述べ、日本への導入の意義について論じる。(著者抄録)

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