カンキツ新品種‘はるひ’

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タイトル別名
  • New Citrus Cultivar ‘Haruhi’
  • カンキツ シン ヒンシュ'ハル ヒ'

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抄録

<p>‘はるひ’は1991 年に農林水産省果樹試験場興津支場(現(国研)農研機構果樹茶業研究部門カンキツ研究拠点)において,オレンジタイプのカンキツ興津46 号を種子親とし,‘阿波オレンジ’を花粉親として作出した品種である.2001 年よりカンキツ第9 回系統適応性・特性検定試験にカンキツ興津55 号として供試した.同試験には28 の公設試験研究機関が参加し,その結果,ヒュウガナツ様の芳香と鮮やかな果皮色を持ち,かつヒュウガナツに比べ高糖度で収穫期が1 か月以上早いこと,剥皮性に優れること等が評価され新品種候補にふさわしいとの合意が得られた.これを受け,2009 年10 月13 日に品種登録出願を行い,2011 年3 月18 日付けで種苗法に基づき第20679 号として品種登録された.本品種の樹勢は中で,樹姿は開張となる.枝梢は太く,長い.葉は紡錘形で葉身の幅は広い.かいよう病とそうか病に強く,カンキツトリステザウイルス(CTV) によるステムピッティングの発生は中程度である.果実は150g 程度で,扁球形である.果皮は黄橙色であり,果面はやや滑らかである.果皮厚は3mm 程度でやや薄く,剥皮は比較的容易である.成熟期(2 月下旬)における果汁の糖度は13% 程度と高く,酸度は1.0g/100mL 程度になる.種子数は平均14 粒程度とやや多い.成熟期は九州地方では1 月下旬以降,関東・東海地方では2 月下旬以降と評価されているため,農林水産省の栽培に適する自然的条件に関する基準に従い果実の寒害を避けるため冬期の最低気温が−3℃以下とならない温暖な地域での栽培が望ましい.また,着果が過多になると小玉傾向になるほか,樹が衰弱し,枯れ込むことがある.中程度の隔年結果性があることから,適正な着果管理に努める必要がある.</p>

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