若者の性の問題化の構造――保健体育科教科書における性感染症の記述を例に

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タイトル別名
  • The Constitution of Problematization of Youth Sex: An Analysis of Physical and Health Education Textbooks
  • ワカモノ ノ セイ ノ モンダイカ ノ コウゾウ : ホケン タイイクカ キョウカショ ニ オケル セイ カンセンショウ ノ キジュツ オ レイ ニ

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説明

本稿は、若者の性がどのように問題視されて、どのようにコントロールされようとしてきたのかを明らかにするために、戦後に発行された中学校・高等学校用の保健体育科教科書における性感染症に関する記述を分析した。 保健体育科教科書では、出産・育児のための健康を害する点で性感染症が問題とされた。結婚前の性行為も、出産・育児に関連しない点で問題となり、結婚までの純潔が求められた。若者の性は、出産・育児のための健康を害さないようにコントロールされる必要があり、具体的には結婚まで純潔を維持するようコントロールされた。そして、純潔規範を説明するために、都合のよい科学的な知見が教科書に記述され、規範に不都合な部分は捨象された。若者の性をコントロールする手段として、性感染症に関する科学的知見が規範と結びつけられたのである。その後、規範が弛緩して科学的知見が重視されるようになり、その結びつきは弱まった。

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