台湾の小規模乳業メーカーの経営戦略に関する考察

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タイトル別名
  • A Study on Management Strategy of the Small-scale Dairy Companies of Taiwan
  • タイワン ノ ショウキボ ニュウギョウ メーカー ノ ケイエイ センリャク ニ カンスル コウサツ

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抄録

戦後の台湾における酪農生産は消費者のニーズの拡大と政府の支援策により、次第に近代的な市乳市場への成長路線に組み込まれてきた。さらに、近年では生産コストの削減対策として規模の経済性が講じられ、乳業メーカーの大手3社だけで加工原料として全国の生乳生産量の8割以上を買い付けているほか、直営牧場への進出、全国的な販路開拓ないし直営売店の開設などの垂直的経営統合を行っている。大手メーカーによる寡占体制が確立しつつある一方、中小規模乳業メーカーとの収益力の格差がいっそう開くようになった。中規模乳業メーカーの生産量は大手3社より少ないが、全国的な販路を持っているので、一定の経営基盤を固めている。地方に立地する小規模乳業メーカーは主に酪農家が加工施設を増設して立ち上げたものだが、所在地域を中心に商品を販売している。このような酪農家は市場での生き残りを図るため、6次産業化に準ずる行動のような機能別戦略を各自に導入しているが、その経営戦略の有効性が問われる。本稿では、階層分析法を用いて業者が評価する有効な経営戦略の考察を行った。結果として、経営戦略における有効な要因として25項目の評価基準及び5つにまとめられた評価カテゴリが確認され、各評価基準の重要度の順位も算出された。しかし、小規模乳業メーカーが重要な評価基準項目を認識していながらも、実際に導入できる経営戦略の機能別属性とは一致しないことが浮かび上がった。

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