韓国・朝鮮民俗学者宋錫夏における郷土芸術(民俗芸能)の展開

DOI HANDLE Web Site オープンアクセス

書誌事項

タイトル別名
  • <Articles>Korean Folklorist SONG Seok-ha and the development of local arts (folk performing arts) in 20th century Korea
  • カンコク ・ チョウセン ミンゾクガクシャ ソウ スズ ナツ ニ オケル キョウド ゲイジュツ(ミンゾク ゲイノウ)ノ テンカイ

この論文をさがす

抄録

朝鮮民俗学会(1932創立)は,朝鮮における民俗学の歴史において重要な画期となるが,これを考えるにあたっては,郷土芸術・娯楽の問題を避けることはできない。朝鮮民俗学会については,植民地主義的な日本人研究者と,文化的ナショナリストたる朝鮮人研究者の呉越同舟といった図式的解釈が支配的だったが,南根祐や李勛相の近年の研究が明らかにしているように,実態は複雑である。とくに,郷土芸術・娯楽を捉えるためには,民俗学者だけではなく,総督府,地域社会,芸能者,マスジャーナリズムのそれぞれの動向を踏まえた関係性の把握が重要になる。本稿では,この時期の郷土芸術・娯楽に大きく関与した宋錫夏を中心に考察する。宗は,日本の「郷土舞踊と民謡の会」を参考に「朝鮮郷土舞踊民謡大会」などの運営に携わる。それは学問的良心と自文化への自身に基づいた努力であった一方,郷土芸術・娯楽を健全化することで農村再編を企てる植民地権力やマスジャーナリズムとの共犯関係をともなったものであったことも看過できない。

収録刊行物

  • 人文學報

    人文學報 118 39-59, 2021-11-30

    京都大學人文科學研究所

関連プロジェクト

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ