クロレラ中の肝保護作用成分-フェネチルアミン:同定とその作用機作

DOI
  • 佐藤 健司
    京都大学大学院農学研究科応用生物科学専攻
  • Zheng Yifeng
    京都大学大学院農学研究科応用生物科学専攻 信州大学バイオメディカル研究所
  • 奥村 衣梨
    株式会社サン・クロレラ研究開発グループ
  • 藤島 雅基
    株式会社サン・クロレラ研究開発グループ
  • 井上 喜博
    京都工芸繊維大学昆虫先端研究推進拠点昆虫バイオメディカル研究部門

書誌事項

タイトル別名
  • Identification of phenethylamine in chlorella extract as a hepatoprotective compound and its possible underlying mechanism

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抄録

<p>クロレラ(Chlorella pyrenoidosa)粉末または熱水抽出物の摂取で高脂肪食摂取ラットの脂質代謝改善などの有益な作用が報告されているが,活性成分は不明であった.本報では最近のクロレラ中の活性成分に関する話題を紹介する.抗酸化酵素であるスーパーオキシドジスムターゼ-1(SOD-1)遺伝子(Sod1)をノックアウトしたショウジョウバエの寿命の延長を指標としてクロレラ熱水抽出物中にフェニルアラニンの脱炭酸物であるフェニチルアミンが同定されている.さらにフェニチルアミンは60%(カロリーベース)高脂肪食を与えたマウス(C57BL/6J)においても体重あたり10 μg/kg の経口投与により,肝臓への脂肪の蓄積の顕著な減少を示すことなく,肝臓中の脂質酸化,血漿アミノトランスフェラーゼ活性,および低密度リポタンパク質コレステロール値を有意に改善することが見い出されている.さらにフェネチルアミン投与は高脂肪食で減少した肝臓中のグリセルアルデヒド-3- リン酸脱水素酵素(GAPDH)を回復させることによりGAPDH の基質から生成するメチルグリオキサールの生成を抑制し,その結果酸化ストレスを減少させることが示されている.メチルグリオキサールが反応するシステインは通常食摂取に比べ高脂肪食により肝臓中で有意に減少するが,フェネチルアミンおよび熱水抽出物の投与により有意に改善されていた.以上の結果よりフェネチルアミンはごく微量の経口摂取によりGAPDH を回復させることで短鎖アルデヒドの生成を抑制するという新規の作用機作により肝保護作用を示すと考えられている.</p>

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