生活保護受給者への健康管理支援事業に対する福祉事務所の期待と課題認識:福祉事務所への質問紙およびヒアリング調査結果より

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  • 上野 恵子
    東京大学大学院医学系研究科保健社会行動学分野 京都大学大学院医学研究科社会疫学分野
  • 西岡 大輔
    京都大学大学院医学研究科社会疫学分野 大阪医科薬科大学研究支援センター医療統計室
  • 近藤 尚己
    京都大学大学院医学研究科社会疫学分野

書誌事項

タイトル別名
  • Expectations and problems of the healthcare management support program for public assistance recipients
  • セイカツ ホゴ ジュキュウシャ エ ノ ケンコウ カンリ シエン ジギョウ ニ タイスル フクシ ジムショ ノ キタイ ト カダイ ニンシキ : フクシ ジムショ エ ノ シツモンシ オヨビ ヒアリング チョウサ ケッカ ヨリ

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抄録

<p>目的 近年,生活保護制度の被保護者への健康管理支援の重要性が指摘され,施策が打たれている。本研究は,2021(令和3)年に全国の福祉事務所で必須事業となった「被保護者健康管理支援事業」に対して福祉事務所が抱える期待や懸念,および国・都道府県への要望を明らかにすることを目的とした。</p><p>方法 2019年11月,機縁法により選定された23か所の福祉事務所に,質問紙調査を依頼した。質問紙では,健康管理支援事業の実施に際して期待する点ならびに懸念する点,国・都道府県から受けたい支援を自由記述で回答を求めた。次いで2019年11月から2020年2月にかけて,福祉事務所でヒアリング調査を実施した。ヒアリング調査では,質問紙項目に記載が不十分な回答,回答の補足事項や不明点を調査票の内容に沿って聞き取りを実施した。</p><p>結果 16か所の福祉事務所から調査票の回答およびヒアリング調査の承諾を得た(同意割合69.6%)。福祉事務所担当者は健康管理支援事業が被保護者の健康意識・状態を改善し,被保護者のみならず他住民への取り組みとしても実施されることを期待していた。また,困難を感じている点として,実施体制の構築,事業の評価指標・対象者の設定,保健医療専門職の確保が示唆された。国・都道府県への要望としては,評価指標・基準の提示,標準様式の提供,参考となる事業事例の紹介,福祉事務所間や地域の他の関係機関との連絡調整,情報共有の場の提供,財源の確保などが挙げられた。</p><p>結論 健康管理支援事業の円滑な実施を推進するためには,自治体と国ならびに都道府県が連携を深めるとともに,重層的な支援体制の構築が求められている。</p>

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