内側縦アーチと母趾外転筋厚の関連性について

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  • 後足部に着目して

抄録

<p>【目的】</p><p>足部内側縦アーチの機能は, 荷重動作や足部の運動性などに重要な役割を担っている. 内側縦アーチ保持には長腓骨筋・長母指屈筋・後脛骨筋・母趾外転筋(以下:AH)などの筋機能や底側距舟靭帯, 足底腱膜, 後足部・前足部骨アライメントなど, 多くの要素が重要であると考えられている.AH は, 解剖学的観察において舟状骨直下に位置し, 解剖書や教科書で学んだ想像よりも実際は大きく, 足部内側を大きく占めているのを経験した. 足部内側縦アーチの高さ(以下, アーチ高)には足部内在筋が重要といわれている. 先行研究ではアーチ高とAH の筋活動についての報告は散見されるが,AH の厚さ(以下,AH 厚)との関連についての報告は少ない. よって本研究ではアーチ高とAH 厚の関連性を明らかにすることとした.</p><p>【対象】</p><p>理学療法士・作業療法士養成校の整形疾患を有していない学生(男11 名, 女9 名の40 足, 平均年齢19 ± 0.2 歳)とした.</p><p>【方法】</p><p>アーチ高とAH 厚との関連性を見るため, アーチ高,Navicular drop test(以下,NDtest),AH 厚の3 つを測定し比較検討する. アーチ高は足長に対して舟状骨粗面高の割合を算出し, アーチ高率とした. ND test は座位で距骨下関節中間位における床 ~舟状骨粗面までの高さと,安静立位における床~舟状骨粗面までの高さの差分を算出した.AH 厚は超音波診断装置(コニカミノルタ社HS-1)を使用し,B モード, リニアプローブを使用し, 座位で舟状骨粗面の位置にAH を短軸で描出し測定した. プローブ押圧を一定にするために, アクリル板素材の透明な水槽に足を浸け測定し AH 厚率(AH 厚/ 足長× 100)を算出した. いずれの評価はそれぞれ同一の検査者により実施した. 統計手法はピアソンの積率相関係数で調べた. 統計処理はIBM SPSS Statistics ver.26.0 を用い,有意水準は5%とした.</p><p>【結果】</p><p>測定の平均は足長 24.6 ± 1.7cm,NDtest 6.0 ± 0.2cm,AH 厚 2.3 ± 0.3cmであった.AH 厚率とアーチ高率,(r=0.34,P=0.83),AH 厚率とNDtest(r=-0.17,P=0.27)の関連性は認められなかった.</p><p>【考察】</p><p>アーチ高率,NDtest ともにAH 厚率との関連性は認められなかった. つまり, 静的立位時の後足部回内に,AH 厚の関連性は低いことが示唆された. 静的な後足部アーチ高は, 後脛骨筋の機能や靭帯での制御が重要なのではないかと考える.先行研究で報告があるように動的支持機構おいてAH は, 足底腱膜と同様に足部の剛性を高めるために重要となってくると考える. 今後の検討して, 後足部回内だけでなく足部全体としてのAH の機能について調査する必要があると考える.</p><p>【まとめ】</p><p>本研究では,AH 厚と内側縦アーチの静的な関連性は認められなかった. しかし,動的制御に関してや前足部の内側縦アーチについて調査できていないため, 調査が必要であると考える.</p><p>【倫理的配慮,説明と同意】</p><p>本研究の計画立案に際し,倫理審査員会の承認を得た(承認番号19004). また研究の実施に際し,対象者に研究について十分な説明を行い,同意を得た。</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390009483112642560
  • NII論文ID
    130008154688
  • DOI
    10.32298/kyushupt.2021.0_99
  • ISSN
    24343889
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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