下水処理施設からの温室効果ガス排出量と低減策に関する検討

  • 福嶋 俊貴
    メタウォーター株式会社 事業戦略本部イノベーションセンター
  • 西村 文武
    京都大学大学院工学研究科 附属流域圏総合環境質研究センター

書誌事項

タイトル別名
  • A basic study on greenhouse gas emissions and reduction measures at sewage treatment facilities
  • ゲスイ ショリ シセツ カラ ノ オンシツ コウカ ガス ハイシュツリョウ ト テイゲンサク ニ カンスル ケントウ

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抄録

<p> 下水処理施設からの温室効果ガス(GHG)排出量を試算するとともに,その低減策を実処理施設のオープンデータを利用して下水処理場機能評価システムにより評価した。</p><p> 下水道統計データを利用して平成29年度のGHG排出量を計算すると650万t-CO2となり,基準年(平成24年度)の約627万t-CO2よりも増加していると考えられた。高度処理と汚泥焼却の有無から4つのパターンに分け,GHG原単位を比較すると通常処理ではGHG原単位は0.26kgCO2/m3であったが,高度処理では水処理N2Oが大幅に削減され0.26kgCO2/m3と通常処理と同程度であった。汚泥焼却では焼却N2Oの影響で0.42kgCO2/m3となっていたが,高度処理+汚泥焼却でもGHG原単位は0.41kgCO2/m3であり電力消費は幾分増加するものの水処理N2Oの大幅な低減が寄与していた。</p><p> GHG低減施策の効果を試算したところ,高度処理を採用している処理場のほうが低減効果が大きく,例えば省エネ施策ではGHG原単位は基本の0.25kgCO2/m3から0.15kgCO2/m3へと低下し,創エネ施策で0.10kgCO2/m3まで6割の低減となり,下水処理施設からのGHG排出量を大幅に削減可能であることが示唆された。</p>

収録刊行物

  • 下水道協会誌

    下水道協会誌 59 (712), 86-94, 2022-02-10

    公益社団法人 日本下水道協会

被引用文献 (1)*注記

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