十二指腸空腸瘻を形成し、穿孔に至った全身性エリテマトーデスの一例

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抄録

<p>10年前に他院で全身性エリテマトーデス(SLE)と診断された40歳台女性。プレドニゾロン(PSL)で治療されていたが、7年前に腹痛、嘔吐が出現しループス腸炎と診断された。PSL増量で軽快するものの、再燃を繰り返していた。1年前にループス腎炎に対してPSL増量と複数の免疫抑制剤が追加されたが、その頃より腹痛、腹部膨満感、嘔吐を認めるようになった。腎炎のコントロールは良好でPSLが漸減されたが、4ヶ月前から腹痛が増悪し、CTで腸管壁肥厚と腸管拡張を指摘された。精査加療目的で当院に紹介受診した際には腹痛は増悪しており、CTにて十二指腸と空腸での閉塞を認めたため入院した。イレウス管を留置し、後日造影で十二指腸と空腸の瘻孔形成が疑われた。そのため経口的小腸内視鏡検査を施行したところ、水平部と空腸での瘻孔を認め、さらに肛門側への腸管で潰瘍と狭窄をきたしていた。手術を検討したがリスクが高く、本人の希望で経過観察することとなった。退院1週間後、腹部の激痛が出現し、消化管穿孔による腹膜炎のため緊急手術を行った。瘻孔部で穿孔しており、瘻孔を含めて水平部から空腸まで切除した。口側は盲端とし、減圧のため胃瘻を造設した。肛門側は空腸粘液瘻として腹壁固定した。長期間TPN管理しつつPSLを漸減し、10mg以下となった術後7ヶ月時点で再手術を行い、十二指腸小腸吻合術および胃瘻閉鎖術を行った。術後は経口摂取可能となり、現在も経過良好である。SLEは全身性の結合組織の炎症による自己免疫性疾患である。消化管病変はループス腸炎と言われ、種々の消化器症状を伴う。一方、SLEではステロイドやNSAIDsなどの薬剤を投与されていることが多く、薬剤起因性の消化管病変を生じることも多い。今回我々は、十二指腸と空腸で瘻孔を形成し、後に穿孔をきたしたSLEの稀な症例を経験した。示唆に富む症例と思われるため報告する。</p>

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  • CRID
    1390009640070087936
  • NII論文ID
    130008161160
  • DOI
    10.32264/shocho.5.0_38
  • ISSN
    24347019
    24342912
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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