日本の美術館における空間探索行動に関する研究

DOI HANDLE Web Site オープンアクセス

書誌事項

タイトル別名
  • SPATIO-BEHAVIORAL EXPLORATIONS DURING ART-MUSEUM VISITS IN JAPAN

この論文をさがす

抄録

本稿は、「日本人の社会的行動」に関する先行研究をふまえた上で、日本の美術館という特定の社会的コンテキストにおける来館者の行動の空間的側面を探求することで、実証的なエビデンスを示すことを目的としている。多くのオブザーバーは、日本の社会的行動は状況への配慮によって導かれることに同意しているが、「日本人の行動はどのような状況や環境で起こるのか」、または「日本人の行動は状況的・空間的配慮によってどのように導かれるのか」という、より重要な問いに十分な注意が払われてこなかった。このような関心の低さには方法論上の問題があり、日本の個人の空間的性質と、その社会的・行動的側面との関係をより正確に理解することが必要であると論じている。また、美術館を訪れる際の個人の行動パターンを3段階で分析した結果に基づいて論じている。美術館は、自由時間に最も多く訪れる公共空間の一つであり、日本で最も一般的なミュージアムの一種である。展示空間は、芸術作品の鑑賞を本来の目的とするが、訪問者の行為がその空間へのアクセス行動、空間の使用方法や居方といった、様々な身体経験と感性に影響を与える場所でもある。分析は、次の3つについて行う。まず、日本の10の美術館の展示空間をサンプルに「スペースシンタックス」理論と「アイソビスト」理論を採用して、空間コンテキストとしてモデル化する。それによって、展示空間そのものがどのようなポテンシャルを持っているかを説明する。次に、各展示空間において訪問者の観察・行動パターンを、これらのモデルと一緒にマッピングする。最後には、一連の比較分析が行われ、観察された行動パターンとそれらの空間変数の間の可能な相互関係を見つける。この論文は、より体験的で文脈的な観点から、人々の社会的行動とコミュニケーションの基本原則に関する代替的な見方を構築する試みにおいて、空間、動き、共存、多様性のテーマを強調する。

収録刊行物

  • Co*Design

    Co*Design 11 15-37, 2022-02-28

    大阪大学COデザインセンター

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ