沖縄県伊平屋島の海神祭伝説

抄録

沖縄北部地方や中部の東海岸の島々ではウンジャミ(海神祭)とシヌグという行事が行われている。ウンジャミが女の折目といわれるのに対し、シヌグは男の折目といわれており、祭事の内容、目的、由来は多様なものとなっている。伊平屋島田名のウンジャミは、昔、喜界島のノロが首里に行く(または帰る)途中、風で田名に避難してしばらく滞在した事に由来すると伝えられている。『琉球国由来記』巻十五にみえる今帰仁城のウンジャミ(大折目、海神祭)記事と田名のウンジャミには、二十余人の神人による「乗馬行列」や「舟漕ぎ儀礼」など共通点が多い。田名と今帰仁城(北山城)には何らかの関係があったとみられる。田名のウンジャミでは、男神「田名のヒャー(田名ンサー)」が「乗馬行列」を先導するなどの重要な役割を担っている。田名のヒャーは田名村の創始者(根人)であった可能性が高い。田名のウンジャミ由来で伝えられている、喜界ノロが避難したという出来事が実際にあり、その事が元となって現在のような田名のウンジャミ祭事が成立した可能性が高いことを指摘した。

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