ジェンダー化される「第三世界の子ども」像 : バングラデシュにおけるアシッドバイオレンス根絶運動の事例から

DOI HANDLE オープンアクセス

書誌事項

タイトル別名
  • Gendered Representations of “Children in the Third World” : A Case Study of Anti-Acid Violence Campaign in Bangladesh
  • ジェンダーカ サレル ダイサンセカイ ノ コドモ ゾウ バングラデシュ ニ オケル アシッドバイオレンス コンゼツ ウンドウ ノ ジレイ カラ

この論文をさがす

抄録

本論は,アシッドバイオレンスのサバイバー支援を担うバングラデシュの女性NGOの広報活動を事例として,「第三世界の子ども」像を構築する視覚的なジェンダー表象の意味作用を明らかにするものである.女性NGOがウェブ上に公開する写真集を素材とした分析の結果,以下の知見が見出された.第一に,本写真集は,他の開発・人道支援組織の広報物と同じく,無垢な「子ども」像や「母子」像を配置することでオーディエンスの共感を喚起していた.第二に,写真集に登場する「第三世界の男の子」像は,暴力被害による心理的葛藤や社会関係上の困難とは切り離され,女性サバイバーに期待される安価な生産労働やケア労働を免除されていた.「第三世界の子ども」像は一枚岩ではなく,ジェンダーによって差異化されていたのである.しかし第三に,そのような「第三世界の男の子」像に表出される男性性は,「第一世界」の白人男性との関係においては劣位におかれていた.「第三世界の男の子」像は,グローバルな資本主義の下での男性性のヒエラルキーを崩すことなく,白人男性の覇権を脅かさない位置におかれるのである.

収録刊行物

関連プロジェクト

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ