中国における社会・文化的に構築されるリスクに関する研究の変容と今後の展望

書誌事項

タイトル別名
  • Transformation and Future Prospects of Research on Socio-culturally Constructed Risk in China
  • チュウゴク ニ オケル シャカイ ブンカテキ ニ コウチク サレル リスク ニ カンスル ケンキュウ ノ ヘンヨウ ト コンゴ ノ テンボウ

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説明

現在、中国社会は、世界規模のリスクのみならず、固有のリスクへの対応に迫られる複雑な時期に突入しているがゆえに、中国国内においてもリスク研究が重要視されてきた。しかし、本研究において、実証的な調査研究を支える理論研究を精査した結果、中国固有の社会・文化的コンテクストから論考する研究が少ないことが明らかとなった。一方で、圧縮された近代化や社会主義体制における市場経済化など中国独自の発展プロセスは、他国を参照しにくい特徴があるため、中国のリスク研究を整理しつつ、その固有の理論の発展を構想する必要性が浮上してきた。本稿では、多分野において展開される中国におけるリスク研究を概観した上で、とりわけ社会・文化的に構築される側面に依拠するリスクの捉え方の変容及びリスクが発生する背景の固有性を考察した。その結果、リスクの成因や特徴等を分析するといった社会の構造分析からリスクの多元的認知分析へと変化していることが明らかとなり、中でも、社会管理における政府の位置づけという中国固有の特徴との関連性が見出された。以上を踏まえ、今後の中国におけるリスク研究やガバナンス等に対する示唆を提示した。

収録刊行物

  • Co*Design

    Co*Design 11 59-75, 2022-02-28

    大阪大学COデザインセンター

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