ペムブロリズマブ投与中に中心壊死を伴う苔癬様皮疹を発症した 1 例

  • 爲政 萌子
    地方独立行政法人堺市立病院機構堺市立総合医療センター皮膚科
  • 田中 文
    地方独立行政法人堺市立病院機構堺市立総合医療センター皮膚科
  • 菊澤 千秋
    地方独立行政法人堺市立病院機構堺市立総合医療センター皮膚科
  • 中野 仁夫
    地方独立行政法人堺市立病院機構堺市立総合医療センター呼吸器内科

書誌事項

タイトル別名
  • A Case of Lichenoid Eruption with Central Necrosis Appearing during Administration of Pembrolizumab

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説明

<p>77歳女性。当科初診約 1 年半前より肺腺癌に対してペムブロリズマブを投与されていた。24クール目頃から軽度の瘙痒感を伴う紅斑が四肢に出現し,次第に範囲が拡大してきたため,皮疹発症から約 1 ヶ月後に当科を紹介受診した。原発巣と転移巣の増大がみられたため,当科初診までにペムブロリズマブはすでに終了されていた。初診時,四肢の末端優位に粟粒大から胡桃大までの不整形な角化性浸潤性紅斑が多数認められ,一部は中心に痂皮を伴っていた。病理組織像では中央部の表皮は壊死しており,その周囲の表皮には液状変性とリンパ球浸潤とともに,基底層部を中心とする多数の個細胞壊死がみられた。表皮内へは主に CD8 陽性細胞が浸潤していた。苔癬様皮疹として加療を開始するも外用治療での改善が乏しく,臨床像で紅斑の中心に顕著な壊死がみられ,組織像では表皮の個細胞壊死が目立ったことから,急性痘瘡状苔癬状粃糠疹(pityriasis lichenoides et varioliformis acuta :PLEVA)に類似した病態を呈している可能性を想定して抗生剤の内服治療を行ったところ皮疹は軽快した。抗 PD-1 抗体による苔癬様皮疹の臨床像と病理組織像は多様性に富んでおり,最終的に自験例も苔癬様皮疹の範疇に含まれると判断した。肺癌を基礎疾患とした扁平苔癬を生じることはまれであり,PLEVA 様の皮疹を生じた報告例も無い。自験例では先行感染や薬剤アレルギーを疑う新規薬剤もなかったことから,ペムブロリズマブによって皮疹を生じた可能性を考えた。 (皮膚の科学,20 : 332-337, 2021)</p>

収録刊行物

  • 皮膚の科学

    皮膚の科学 20 (4), 332-337, 2021

    日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会

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