重症大動脈弁狭窄症併存例における内頚動脈狭窄症の治療成績 ─TAVIとCEA,当院の検討から─

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  • Recent Results for Carotid Artery Stenosis Complicated with Severe Aortic Valve Stenosis: TAVI and CEA, from the Examination of Our Institution

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抄録

<p>心・大動脈疾患の術前精査で頚動脈狭窄症(CS)が指摘される場合が少なくない.当施設では2016年に重症大動脈弁狭窄症(severe AS)に対する治療法として経カテーテル的大動脈弁置換術(TAVI)が導入されたが,今回,TAVI術前精査で発見されたCSに対する頚動脈内膜剝離術(CEA)施行例について後方視的に検討した.</p><p>2016年4月から2018年8月末までの期間中,当施設でCEAにより治療したCS 37例中,TAVI術前精査で発見されたCS(A群)とその他(B群)を比較した.</p><p>結果はA群 5名 5病変,B群 30名 32病変であり,A,B群で平均年齢(79対71歳)でA群がより高齢,性比(女性20対9%),症候性例(40対41%),NASCET中央値(79対66.5%)でA群はより狭窄率が高かった(p=0.033).術前mRS(0:40対44%,1:40対25%,2:20対19%,3:0対12%),退院(転科)時mRS(0:60対53%,1:20対25%,2:20対16%,3:0対0,4:0対6%)と,A群はより高齢で高度狭窄だったが,比較的良好な転帰だった.</p><p>severe AS併存のCS患者では急激な血圧低下で心筋虚血が誘発されるため,頚動脈ステント留置術が一般に禁忌とされる.一方,CS併存のsevere AS例では外科治療の際に脳梗塞発症が懸念され,症例選択や治療順序が問題となるが一定の見解はない.本検討から,severe ASを併存したCS患者でも患者ごとに慎重に検討しTAVIを組み合わせ,安全にCEAで治療可能と示唆された.</p>

収録刊行物

  • 脳卒中の外科

    脳卒中の外科 50 (1), 44-49, 2022

    一般社団法人 日本脳卒中の外科学会

参考文献 (13)*注記

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