神奈川県内の絶滅危惧種キバネツノトンボの生態的知見

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書誌事項

タイトル別名
  • Ecological Knowledge of Endangered Species <i>Libelloides ramburi</i> (M'Lachlan, 1875) in Kanagawa Prefecture, Japan

抄録

キバネツノトンボは、現在、神奈川県内での分布が県北部の一角に極限される絶滅危惧種である。本報では、これまでほとんど報告のなかった本種の生態を解明するために、2020 年、2021 年に継続観察を実施した生態調査の結果を報告した。まず、今回本種が夜間生息地の草地のススキなどの枯れ茎に静止して休止することを初めて明らかにした。この中で発生初期はススキ、後期はイネ科草本を利用するなどの休止場所の選択や休止位置などの知見が得られた。また、休止時調査によりその時点の生息個体数や性比の確認、本種の天敵としての2 種のクモ類についても明らかにできた。産卵対象は、外来植物のセイタカアワダチソウの枯れ茎が74 % と多数を占めた。今回本種では初めて実施された個体識別マーキング調査により、総計174 頭にマークし、再捕獲率は6 % と個体群の出入りが激しい種であることや、発生初期にオスが多く、後期に向かって減少する性比の変動、オスで34 日、メスで24 日の個体寿命など、これまで未知であった多くの新知見を得ることができ、この調査手法の有効性を示すことができた。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390010292776732800
  • DOI
    10.32225/bkpmnh.2022.51_73
  • ISSN
    21896720
    04531906
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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