洪水氾濫シミュレーションを用いたトムスク市街地におけるアイスジャム洪水の推定

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  • Estimation of ice jam flooding in Tomsk urban area using flood inundation simulation

抄録

<p>1.はじめに</p><p>寒冷地に位置する河川では,河道内に形成された河氷によって河道が閉塞されて水位が上昇するアイスジャムが発生することがある(吉川ほか 2011).トムスクでは2010年春に,付近を流れるトム川にてアイスジャム洪水が発生した.</p><p>本研究ではトムスク周辺を対象にアイスジャムの発生シナリオを複数想定し,洪水氾濫シミュレーションを用いた洪水範囲の推定を行った.</p><p>2.研究手法と使用データ</p><p>本研究の対象範囲は,トム川のトムスク周辺地域である.</p><p>本研究では,複数のシナリオを作成し,そのシナリオに従って,dynamic wave modelに基づいた洪水氾濫シミュレーションを行った.その結果を考察し,洪水の浸水域を推定した.</p><p>洪水氾濫シミュレーションに必要となるデータは,地形,土地利用,流量である.UTM座標系WGS84測地系に投影変換して使用した. 地形データは,宇宙航空研究開発機構(2017)を用いた.土地利用データは,Geospatial Information Authority of Japan et al.(2013)を用いた.土地利用データは,Manningの粗度係数としてモデルパラメータに用いた.流量データは,トム川の観測地点の流量を用いた.流量データは2010年1年間の日平均流量である.</p><p>シナリオは,アイスジャムが起こらないシナリオとアイスジャムが起こった複数のシナリオを用意した.2010年春にアイスジャム洪水が起こった際の流量は3,000m3/s程度であったため,3,000 m3/sを24時間与えて,洪水氾濫シミュレーションを行った.</p><p>3.結果</p><p>複数のシナリオに従って洪水氾濫シミュレーションを行った結果,トム川から洪水流は,主に左岸側に流れていくことがわかった.しかし,下流では,市街地のある右岸側にも洪水があふれることがわかった.</p><p>4.おわりに</p><p>本研究では,アイスジャムを考慮して洪水氾濫シミュレーションを行い,トムスク周辺にて発生する可能性のある洪水の範囲について推定を行った.その結果,トムスク市街地では主に下流側で洪水の被害にあう可能性があることがわかった.</p><p>参考文献</p><p>宇宙航空研究開発機構 2017. ALOS World 3D – 30m. https://www.eorc.jaxa.jp/ALOS/jp/dataset/aw3d30/aw3d30_j.htm (最終閲覧日: 2022年1月19日)</p><p>吉川泰弘・渡邊康玄・早川 博・平井康幸 2011. 2010年2月に渚滑川で発生したアイスジャムに関する研究. 河川技術論文集 17: 353-358.</p><p>Geospatial Information Authority of Japan, Chiba University and collaborating organizations. 2013. Land Cover (GLCNMO) - Global version - Version 3. https://github.com/globalmaps/gm_lc_v3#land-cover-glcnmo---global-version---version-3 (last accessed 19 January 2022)</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390010292784436224
  • DOI
    10.14866/ajg.2022s.0_123
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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