音韻意識の発達と日本語の読み能力の関係性

抄録

<p>本研究では,日本人の音韻意識にはどのような発達的変化がみられるのか,また,音韻意識と読み能力の間にはどのような関係性があるのかについて,小学生および成人を対象とした実験により検討することを目的とした。健常の小学2年生(7名),4年生(10名),6年生(7名),および,成人(12名),合計36名が本研究に参加した。参加者全員に対して,読み能力検査(読みの正確性・流暢性)および音韻意識に関する実験を実施した。音韻意識の実験では,参加者はノートパソコンの前に座り,2つ連続して提示された3モーラの単語の頭韻および脚韻が同じか否かを,マウスのボタンを押すことにより回答(Yes/No)した。4条件(実在語頭韻・非語頭韻・実在語脚韻・非語脚韻)×1トライアル(4試行)×3ブロック(A・B・C)の計48試行実施した。実験の結果,年齢が上がる程,読みの正確性や流暢性が向上し,実在語・非語の頭韻,非語脚韻に関する音韻意識が統計的に有意に高くなることが示された。また,ステップワイズ法による重回帰分析を行った結果,読みの正確性・流暢性は,非語の脚韻と実在語の頭韻に関する音韻意識が関係していることが示唆された。</p>

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