第三脳室底開窓術が著効した,くも膜嚢胞による閉塞性水頭症の一例

書誌事項

タイトル別名
  • A case of obstructive hydrocephalus caused by arachnoid cyst and successfully treated by endoscopic third ventriculostomy
  • ダイサン ノウシツテイ カイソウジュツ ガ チョコウシタ,ク モ マクノウホウ ニ ヨル ヘイソクセイ スイトウショウ ノ イチレイ

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抄録

くも膜嚢胞は一般的には無症候性であり,画像検査で偶発的に発見されることが多いが,稀に閉塞性水頭症,内分泌障害,視機能障害などを引き起こすことが報告されている.今回,くも膜嚢胞による閉塞性水頭症をきたし,第三脳室底開窓術が著効した一例を経験した.症例は3 歳の男児.嘔吐,歩行障害,眼位異常を主訴とし,当科を紹介され受診した.頭部 MRI で水頭症と中脳水道付近の嚢胞性腫瘤を認め,嚢胞切除術及び第三脳室底開窓術を施行した.術後,症状は徐々に軽快し,画像検査上,水頭症所見も改善傾向を認めた.術中所見と病理検査の結果より,嚢胞性腫瘤は第三脳室由来のくも膜嚢胞であると診断され,閉塞性水頭症をきたしたと考えられた.くも膜嚢胞の多くは無症候性であるが,画像検査で偶発的に発見された場合,低年齢であるほど,自然増大して閉塞性水頭症を引き起こす可能性があり,より注意してフォローアップする必要がある.

収録刊行物

  • 弘前医学

    弘前医学 72 (1-4), 76-79, 2022

    弘前大学大学院医学研究科・弘前医学会

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