ゆるせない体験における傷つきと自己の側面

抄録

<p>ゆるしは誰かに傷つけられた体験について回顧を求めることで測定されており,傷つきが高まる原因について検討することはゆるしにおいて重要な課題である。本発表では,ゆるしの規定因として傷ついた体験の種類について検討することを目的とする。4年制大学生586名を対象に,誰かに傷つけられた体験の想起を求め,体験当時の傷つき,現在の傷つきについて0-10点で回答を求めた。また,いじめや裏切りといった体験の分類や,体験が自己のどのような側面に影響を与えたか回答を求めた。肯定率や項目間の類似性から項目を統廃合し,6つの側面にまとめた。6側面それぞれの傷つきについて比較したところ,傷つきの全体平均が当時7.65,現在2.54であったのに対し,「身体・健康」(当時8.60,現在3.82)および「恋愛観・結婚」(当時8.55,現在3.72)の側面で傷ついた者が高い値を示した。体験の分類と6側面のクロス表を算出した結果,「恋愛観・結婚」は裏切りや約束を守ってもらえなかった体験として回顧されやすく,「身体・健康」はいじめや暴力を伴う体験として回顧されやすいことが示された。</p>

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