メタ記憶と主観年齢との関連—記憶の自信度と記憶の衰え自覚に着目して—

抄録

<p>高齢期になると,記憶の失敗経験が増加し,記憶の自己認識である「メタ記憶」に影響を及ぼすと考えられる。また,人は,実際の年齢(暦年齢)ではなく,自分が感じている年齢(主観年齢)に応じてふるまうとされる。この主観年齢は,年齢アイデンティティとなり,行動や態度を規定する(佐藤,2014)。しかしながら,認知的側面の年齢自覚である「脳年齢」については,十分に検証されていない。本研究では,メタ記憶と主観年齢との関連を明らかにする。若年群(29.8±5.65歳),中年群(49.3±5.50歳),高齢群(60代:63.9±2.89歳;70代:72.7±2.64歳;80代:81.5±1.39歳)を対象(合計699名)にWeb調査を実施した。主観年齢(実感・脳・体力年齢)と記憶の自信度(MSSC)及び記憶の衰え自覚(SMDS:衰え感・失敗感)の各尺度得点との相関係数を,各年齢群(高齢者は各年代)で算出した。中年群では脳年齢と衰え感で相関がみられ,70代では脳年齢とMSSCで負の相関がみられ,80代ではすべての主観年齢とMSSCで負の相関がみられ,さらに失敗感と実感年齢及び脳年齢で相関がみられた。</p>

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