抄録
<p>社会心理学では間違った行動であっても多数派に同調する非合理的な傾向が強調されてきた。一方,全体の50 %以上で見られる行動をそれ以上の確率で採用する多数派同調バイアスを持つことが不確実性下の情報獲得状況で正しい判断を導くと,人類学で指摘されている。しかし,このバイアスが実在するかには疑義がある。Eriksson & Coultas(2009)はこの問題を解の自明性の低い課題で検討したが,バイアスが進化する前提である解の自明性の高い状況下では検討されてない。本研究では解の自明性が高い状況下で多数派同調バイアスが観察されるかを検討した。予備調査(N=68)では解の自明性の高い問題と解の自明性の低い問題で50 %を超えた課題を選定した。本調査(N=120)では課題の正誤を回答した後,自分以外の架空の9人の判断が4パタン(全員が「はい」~全員が「いいえ」)示された上で,自分の判断を尋ねた。本調査では,解の自明性の高い課題でも解の自明性の低い課題でも多数派同調バイアスが観察され,仮説が支持された。</p>
収録刊行物
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- 日本心理学会大会発表論文集
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日本心理学会大会発表論文集 85 (0), PC-131-PC-131, 2021
公益社団法人 日本心理学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390010292808679424
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- ISSN
- 24337609
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- Crossref
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可