後期高齢者・超高齢者における老年的超越がその後精神的健康に及ぼす影響の年齢差の検討:SONIC研究データを用いた縦断的検討

抄録

<p>老年的超越は加齢に伴い発達し,身体的・社会的危機を経験しやすい超高齢者の心理的適応と促すとされる。そこで後期高齢者,超高齢者を対象として老年的超越の精神的健康への影響の年齢差を検討した。分析対象者は2016年から2019年の会場調査(ベースライン調査[BL])と2020年の郵送調査(フォローアップ調査[FU])の両方に参加した高齢者1280人(年齢範囲:78~99歳)であった。目的変数にFU時精神的健康,説明変数にBL時老年的超越,年齢,老年的超越と年齢との交互作用項,統制変数に性別,BL時精神的健康,FU時の同居者有無,手段的自立,経済状況,友人知人との交流頻度,とする重回帰分析を行った。その結果,BL時の老年的超越は有意(β=.06 p<.01)であり,年齢と老年的超越の交互作用項も有意傾向(β=.04 p=.06)であった。単純主効果の検定の結果,老年的超越の影響は,低年齢では有意ではないが,高年齢では有意(β=.10 p<.001)であり,より高年齢で老年的超越の影響が大きかった。本結果は,仮説通り,高い年齢の高齢者の心理的適応を老年的超越が促進する可能性を示している。</p>

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