早期の外科的治療が奏功した気腫性腎盂腎炎の1例

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抄録

症例は70歳,女性.発熱と無症候性肉眼的血尿を主訴に近医より当科へ紹介となった.右下腹部痛を認め,意識は清明であったが,収縮期血圧89 mmHgと低値を認めた.腹部CT検査で右腎の腎嚢胞内及び腎盂内にガス像を,右尿管内に1 cm x0.7 cm大の尿管結石を認めた.同日緊急入院となり,点滴加療を開始し,翌日に緊急的に開腹下右腎摘除術を実施した.腸管との癒着は認めなかったものの,一部の腹膜と強固に癒着しており,膿瘍を開放しないように慎重に剥離操作を行なった後,腎動脈と腎静脈を結紮して切断した.また右尿管内に結石を触知し,末梢側の尿管を結紮・切断して処理した.腎と周囲との剥離をシーリングデバイスで凝固・止血しながら切断して処理することで膿汁を術野に漏らすことなく,右腎を摘除することができた.術後経過は良好であり,術後18日目で自宅退院となった.術後4ヵ月が経過した段階で明らかな再燃所見は認めず,血清Cr 1.1 mg/dLと低値で推移し,発熱も認めず,経過は良好である.気腫性腎盂腎炎は依然として致死率の高い疾患だが,適切なタイミングで外科的加療を行うことで救命が可能であった1例を経験した.

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