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- 寺下 和宏
- 神戸大学大学院法学研究科
書誌事項
- タイトル別名
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- What are the Political Consequences of the Boomerang Strategy by Civil Society Organizations?A Case Study of the Hate Speech Elimination Law in Japan
- 市民社会組織のブーメラン戦略はいかなる政治的帰結をもたらすのか : 日本におけるヘイトスピーチ解消法の事例分析
- シミン シャカイ ソシキ ノ ブーメラン センリャク ワ イカナル セイジテキ キケツ オ モタラス ノ カ : ニホン ニ オケル ヘイトスピーチ カイショウホウ ノ ジレイ ブンセキ
- ―日本におけるヘイトスピーチ解消法の事例分析―
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説明
<p>本稿は,ヘイトスピーチ解消法の事例分析から,市民社会組織のブーメラン戦略がいかなる政治的帰結をもたらすのかを明らかにした.これまでの研究では,国内での政治アクセスが難しい市民社会組織は,他国や国際機関を通じて,圧力をかけるブーメラン・パターンによって政治的帰結を生じさせていると論じてきた.他方で,ブーメラン・パターンによる国際的圧力は限定的なものであるという反論もあった.しかし,いずれの議論もモデルの妥当性には疑問符がつき,実証性に乏しい.そこで本稿では,合理的選択論に基づき仮説を構築した上で,日本におけるヘイトスピーチの政治過程を検討した.その結果,イシュー・セイリアンスと,選挙サイクルの組み合わせによって,与党がとりうる行動が変わり,その結果生じる帰結も異なったことで,差別規制には不完全な法律が制定されたことを明らかにした.これにより,市民社会組織のブーメラン戦略によってもたらされた国際的圧力は,国内アクターによって利用される可能性を示した.</p>
収録刊行物
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- ノンプロフィット・レビュー
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ノンプロフィット・レビュー 21 (1+2), 81-93, 2022
日本NPO学会