山地渓流の河床と河川間隙水域における有機物分解速度の比較

  • 李 彦達
    九州大学大学院生物資源環境科学府環境農学専攻森林環境科学コース
  • 笠原 玉青
    九州大学大学院農学研究院環境農学部門森林環境科学講座
  • 智和 正明
    九州大学大学院農学研究院環境農学部門森林環境科学講座

書誌事項

タイトル別名
  • Comparison of organic matter decomposition rates between benthic and hyporheic zones in a headwater stream
  • サンチ ケイリュウ ノ カショウ ト カセン カンゲキ スイイキ ニ オケル ユウキブツ ブンカイ ソクド ノ ヒカク

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説明

渓流の水生生物を支えている陸生有機物は,河床だけでなく,河川間隙水域にも保持されている。本研究では有機物の分解に着目し,分解速度を河床と河川間隙水域で比較することで,分解の場としての河川間隙水域の相対的重要性を5つの季節(冬・春・梅雨・夏・秋)で評価すること,また分解を制御する主要な要因である大型無脊椎動物の貢献度を評価することを目的とした。有機物分解速度の指標として,綿ストリップの引張強度の減少率を用いた。大型無脊椎動物の貢献度は,目開き5mm 0.1mm のメッシュに入った綿ストリップの引張強度減少率の差から評価した。河床と河川間隙水域ともに,有機物分解速度は冬に最も低く,夏に最も高い傾向を示し,水温が分解速度の季節性に大きく影響していることがわかった。河床と河川間隙水域の分解速度を比較すると,春から夏にかけては河床の方が有意に高いが,秋から冬にかけては有意な差はなく,河川間隙水域の分解の場としての相対的重要度は季節によって異なることがわかった。大型無脊椎動物の貢献度は,河床では冬を除いてすべての季節で,河川間隙水域では夏と秋のみ有意であった。大型無脊椎動物が,河床での有機物分解だけでなく,季節的にではあるが河川間隙水域の有機物分解においても重要であることが示唆された。

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