アブレーション直前に心嚢水の有無を確認することの有用性

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  • Effects of confirming pericardial effusion immediately before catheter ablation
  • アブレーション チョクゼン ニ シンノウスイ ノ ウム オ カクニン スル コト ノ ユウヨウセイ

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抄録

<p>【はじめに】不整脈治療としてのカテーテルアブレーション(CA)の合併症の1つに心嚢水貯留がある。外来やCA後に心嚢水の有無を確認することは多くの施設で行われているが,CA直前に確認している施設は多くはない。今回我々は,CA直前に心嚢水の確認を行うことの有用性を検討したので報告する。【対象と方法】対象は2019年4月から9月にCAを施行した連続327例(平均年齢64.0歳,男性230名)。CA直前と直後に経胸壁心エコーにて心嚢水の有無を確認した。術後に心嚢水を認めた48例を,CAの前後で心嚢水の量が変化しなかった群(変化なし群)24例と新規に心嚢水を認めた群(新規貯留群)24例に分類し,血圧低下,ICUへの転棟,心嚢穿刺の有無,入院の延期といったイベントの発生について,Χ2独立性の検定を用いて検討した。【結果】イベントの発生件数(イベント内容の重複あり)は,変化なし群が3例(血圧低下3例,ICU転棟2例,穿刺0例,入院延期0例),新規貯留群が10例(血圧低下5例,ICU転棟8例,穿刺3例,入院延期8例)で,新規貯留群が有意に高値を認めた(p < 0.05)。【考察】心嚢水の貯留に関しては少量でも血圧低下などにつながることがある。しかし,直前に確認をしておかないと,CAによって貯留した心嚢水かはわからない。CA直前に心嚢水の有無を確認しておくことで,術中や術後の血圧低下などの原因が,CAによる心嚢水貯留であるかの鑑別に有用であると考えられる。</p>

収録刊行物

  • 医学検査

    医学検査 71 (2), 318-323, 2022-04-25

    一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会

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