頭頸部脱分化型腺様嚢胞癌の4例

  • 神月 梓
    大阪府立病院機構大阪国際がんセンター臨床検査科
  • 原田 博史
    大阪府立病院機構大阪国際がんセンター病理・細胞診断科
  • 龍 あゆみ
    大阪府立病院機構大阪国際がんセンター臨床検査科
  • 棚田 諭
    大阪府立病院機構大阪国際がんセンター臨床検査科
  • 井戸田 篤
    大阪府立病院機構大阪国際がんセンター臨床検査科
  • 山﨑 知行
    大阪府立病院機構大阪国際がんセンター臨床検査科
  • 中塚 伸一
    大阪府立病院機構大阪国際がんセンター病理・細胞診断科
  • 本間 圭一郎
    大阪府立病院機構大阪国際がんセンター病理・細胞診断科

書誌事項

タイトル別名
  • Case study of head and neck dedifferentiated adenoid cystic carcinoma
  • トウケイブ ダツブンカガタ センヨウ ノウホウ ガン ノ 4レイ

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抄録

<p>背景:腺様嚢胞癌は緩慢な発育と長い臨床経過を特徴とするが,脱分化を伴う腺様嚢胞癌は急激な経過を辿り,その予後は低悪性や高悪性症例と比較して不良である。今回,当院で経験した頭頸部脱分化型腺様嚢胞癌4例について報告する。症例:患者は38~78歳の男女で,組織診材料では低悪性成分と著しい異型や多形性,壊死を伴う高悪性成分が混在しながら単一の病変を形成する像を認め,広範な壊死を伴う大型の充実性胞巣が多く認められた。腫瘍の大半を低分化ないし未分化な成分が置換していたため,細胞診材料のほとんどは高悪性成分が観察され,腺様嚢胞癌の特徴的所見に乏しかった。今回,細胞像を再検討した結果,篩状構造や管状構造を示す部分が認められた。他の高悪性の癌腫との鑑別が問題になった場合は,このような所見を丁寧に観察することが重要であると考えられた。また,高悪性症例と脱分化症例の鑑別に細胞診材料が役立つと報告されている。今回の4例でも異型や多形性の度合い,核腫大,明瞭な核小体,狭小~中等量の細胞質などの細胞所見は文献に合致していた。細胞診材料が腫瘍の部分像である点に注意を要するが,このような差異を認識することは重要であると考えられた。結語:高悪性成分の存在を細胞診で指摘することは,後日の組織検体の検索において診断上有益な情報を与え,かつ病理医が脱分化成分を明確に認識する意味でも細胞診の果たす役割は大きい。</p>

収録刊行物

  • 医学検査

    医学検査 71 (2), 356-361, 2022-04-25

    一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会

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