急性肝不全治療における侵襲性肺アスペルギルス症発症リスクの検討

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説明

<p>【背景】急性肝不全治療においては感染症制御が肝要であり、なかでも侵襲性肺アスペルギルス症(Invasive Pulmonary Aspergillosis: IPA)は致命的感染症である。当施設の急性肝不全治療中におけるIPAの成績を報告する。【方法】2010年から2020年の期間に、急性肝不全の診断で紹介され肝移植の準備をした57例の成績を検討した。【結果】57例のうち、20例(35%)は内科的治療で改善、22例(39%)は肝移植を施行、15例(26%)は移植せずに死亡した。IPAは、上記群別で2:4:5例(10:33:18%)で発症した。肝移植施行例の4例は全て移植後にIPAを発症し、3例が死亡した。IPA発症例は非発症例に比し、当院入院時のCLIF-C SOFA scoreが有意に高値であり(11.6 vs 9.6, p=0.001)、年齢性別調整後のCLIF-C SOFA score 10.5以上がIPA発症リスク因子として抽出された(オッズ比18.3、95%信頼区間2.1-157.9、p=0.008)。IPA発症例の1年生存率も有意に低かった(74.8 vs 27.3 %, P=0.001)。【結語】急性肝不全に対する移植準備中や移植後において、CLIF-C SOFA scoreで反映される他臓器障害を持つハイリスク症例では、血清βDグルカンやアスペルギルス抗原と言ったマーカーとCT検査の併用を行い、IPA発症の評価を積極的にモニタリングすべきである。</p>

収録刊行物

  • 移植

    移植 56 (Supplement), s83-s83, 2021

    一般社団法人 日本移植学会

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