肝移植後の免疫抑制剤使用及び免疫寛容樹立に係る全国調査報告
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抄録
<p>【背景】免疫抑制剤は肝移植後の予後改善に大きく寄与してきたが、長期間の免疫抑制剤服用に伴う副作用の問題が顕在化している。一方、免疫抑制剤の減量や中断(免疫寛容)は、各医療機関や医師の経験則に委ねられ、実態は不明である。本邦の免疫抑制剤使用、及び免疫寛容樹立に関する調査を行った。</p><p>【方法】全ての肝移植実施施設を対象に、肝移植学会を通じてWeb調査を実施した。項目は①免疫抑制剤使用法、②免疫寛容樹立、③免疫寛容樹立患者背景の3つに大別した。</p><p>【結果】回収率は69.2%(45/65施設)で、high volume施設に限ると96.8%(30/31施設)であった。①免疫抑制剤使用法は、移植後経過に伴い「薬剤数」や「CNI目標トラフ値」が減少する傾向を認めた。②「免疫抑制剤の減量、中断に向けた前向きな免疫抑制剤減量」を試みた施設は、9施設(20%)のみであった。減量基準は、「肝機能」(89%)、「移植からの期間」(67%)で、再開する基準は、「肝機能」(98%)、「肝生検で拒絶様の組織破壊像」(67%)であった。③免疫寛容樹立患者は、158名(全肝移植症例の1.9%)存在し(成人25名、小児131名)、移植後早期(5年以内)は成人16名、小児38名であった。</p><p>【結語】肝移植後の免疫抑制剤使用及び免疫寛容樹立に関する本邦初めての大規模調査を行った。現在、免疫寛容患者158名に対して追加調査中である。</p>
収録刊行物
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- 移植
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移植 56 (Supplement), s170-s170, 2021
一般社団法人 日本移植学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390010554996992896
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- ISSN
- 21880034
- 05787947
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可