当院における小児肝移植の適応とアプローチの現状と今後の課題

DOI
  • 中里 弥生
    国立成育医療研究センター 看護部 専門看護室 臓器移植センター
  • 上遠野 雅美
    国立成育医療研究センター 看護部 専門看護室 臓器移植センター
  • 平野 加奈子
    国立成育医療研究センター 看護部 専門看護室 臓器移植センター
  • 福田 晃也
    国立成育医療研究センター 臓器移植センター
  • 阪本 靖介
    国立成育医療研究センター 臓器移植センター
  • 笠原 群生
    国立成育医療研究センター 臓器移植センター

抄録

<p>【背景】</p><p>小児の脳死臓器提供は少なく、分割肝移植の基準(50歳未満、脂肪肝30%以下)を満たすドナーも少ないため、小児肝移植の多くは生体肝移植で実施されている。当院では肝移植説明時に、可能な限り脳死・生体移植両方のオプション提示を行い、患者家族に移植方法を選択していただいている。</p><p>【対象】</p><p>当院では年間50~60例の小児の生体肝移植、5~8例の脳死肝移植を実施している。</p><p>2010年より脳死登録が開始され、2021年5月末までの脳死登録者数は178例おり、そのうち55例の脳死肝移植を実施した。</p><p>脳死登録の適応は急性肝不全41%、社会的理由26%、代謝性疾患18%と全体の86%を占めている。</p><p>一部の先天性代謝性肝疾患では両親が保因者で、同胞も同疾患であることが多く、脳死登録を優先せざるを得ない場合が多い。特に同胞例では遺伝的要因のある疾患の移植準備をすすめる際に、祖父母、両親の同胞も含めた家族背景について聴取し、脳死登録と生体ドナーの準備を進める必要がある。遺伝診療科による遺伝子検査の実施や、次子希望の際に遺伝カウンセリングナースへの面談調整も行っている。</p><p>【課題】</p><p>小児ではその疾患特異性から、生体肝移植の成績が著しく悪い疾患や、保因者のため家族内で至適ドナー候補がいない場合が多く、生体肝移植が実施できない症例も多い。脳死移植でしか救命できない小児疾患も多いため、今後さらに脳死臓器提供の啓発が必要である。</p>

収録刊行物

  • 移植

    移植 56 (Supplement), s491-s491, 2021

    一般社団法人 日本移植学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390010554997019264
  • DOI
    10.11386/jst.56.supplement_s491
  • ISSN
    21880034
    05787947
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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