日本人ヒト膵島の研究転用の意義と課題

DOI
  • 白川 純
    群馬大学 生体調節研究所 代謝疾患医科学分野

抄録

<p>ヒトの病理組織の解析により、1型糖尿病および2型糖尿病においてインスリンを産生する膵β細胞の機能だけでなく、量そのものも低下していることが広く知られている。このため、膵β細胞の機能を回復させることや、膵β細胞を再生させることが、糖尿病の進展を抑制する鍵となる。これまでの研究によりヒト膵島とマウス等の実験動物の膵島は、形態、細胞組成、アミロイド線維の沈着等の病態形成、増殖能、遺伝子発現パターンなどが異なることが報告されている。そのため、基礎研究の臨床応用を考慮した際に、ヒト膵島を用いた研究の重要性はより増してきている。最近ではヒト膵島およびヒト膵β細胞を用いた研究が次々と発表され、動物モデルでの発見をヒト膵島で検証することがスタンダードになりつつあるが、本邦ではヒト膵島を用いた研究を遂行する体制や整備状況に関して欧米と比較すると遅れている。欧米人の糖尿病と日本人の糖尿病とは、様々な点で病態が異なると考えられている。膵島移植用に分離された日本人の膵島を移植に適さなかった場合に研究転用することにより、本邦特有の膵β細胞機能や糖尿病における膵β細胞障害機構を明らかにすることができるかもしれない。日本人ヒト膵島を用いた研究の実現を見据えて、ヒト膵島研究の現状および課題について議論したい。</p>

収録刊行物

  • 移植

    移植 56 (Supplement), s537-s537, 2021

    一般社団法人 日本移植学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390010554997090048
  • DOI
    10.11386/jst.56.supplement_s537
  • ISSN
    21880034
    05787947
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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