小児生体肝移植におけるchronic AMRに対する治療戦略

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抄録

<p>【緒言】小児肝移植においてドナー特異的抗HLA抗体(DSA)による慢性抗体関連拒絶反応(cAMR)はグラフト予後に影響するため、cAMR対する我々の治療戦略および成績について文献的考察を加えて報告する。</p><p>【対象】2005年11月以降当科で小児生体肝移植(移植時月齢13.5(1-215))を施行し、術後3年以上経過して術後DSAを測定した342例を対象とした。</p><p>【結果】DSA陽性89例(26.0%)のうち、58例に肝生検を施行した。Banff criteriaに準じて10例をcAMR、5症例をpossible cAMRと診断した。15症例において、グラフト重量は軽く、DSAのMFIは高値であった(p=0.028, p=0.0037(MFI cut-off: 6938))。その他の免疫学的に影響を与える因子はCAMRのrisk factorとならなかった。cAMR症例に対する治療は、1: カルシニューリン阻害剤(CNI)のトラフ調整(TAC: 5-7 ng/mL)、2:MFI高値および線維化を伴う症例ではミコフェノール酸モフェチル(MMF)を追加(initial dose: 10mg/kg/day)、3:半年から1年でのフォロー肝生検で評価、というprotocolに基づいて治療している。治療期間の中央値は24か月(16-47か月)で、MMF導入症例は7症例であった。治療効果はCd4陽性症例が11症例(73.3%)から5症例(33.3%)に減少し、MMF導入症例ではCNI単剤症例と比較して治療前後でDSA低下が大きかった(p=0.08)。Graft lossに至った症例は認めなかった。</p><p>【結語】MFI高値のcAMR症例に対してはMMFを併用した免疫抑制療法が有用であることが示唆された。</p>

収録刊行物

  • 移植

    移植 56 (Supplement), s458-s458, 2021

    一般社団法人 日本移植学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390010555000136064
  • DOI
    10.11386/jst.56.supplement_s458
  • ISSN
    21880034
    05787947
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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