新垣美登子「黄色い百合」論
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- 佐久本 佳奈
- 一橋大学大学院
書誌事項
- タイトル別名
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- A Study of Arakaki Mitoko's <i>Yellow Lily</i>: The Background of the Civil Code Reform Movement in Okinawa under the US Occupation
- ──米軍占領下沖縄の民法改正運動を背景に──
抄録
<p>新垣美登子の新聞小説「黄色い百合」(一九五四-五五)は、旧民法が存続した米軍占領下沖縄において女性たちが担った民法改正運動と呼応し、沖縄社会の封建制批判を行った点で、沖縄の男性作家が書いてこなかった占領空間の複数性を提示した。同時代の新聞小説山里永吉「塵境」と「塵境」批評は共に自律的な女性の空間を否認するが、テクストは性と生殖に分断された妾・妻・母たちの位相を可視化し、非規範的な女性像を描くことで規範的な家族像をずらす。それは産みの母「カミー」を次代再生産の役割としてではなくエロスの対象とする「百合子」の想いにも現れる。結末の伝統的風習に倣いつつもそれに背き、先祖の遺骨を火葬する「百合子」の行為には新民法を超えた公正な掟への求めが存在する。</p>
収録刊行物
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- 日本近代文学
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日本近代文学 104 (0), 32-46, 2021-05-15
日本近代文学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390010610453415680
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- ISSN
- 24241482
- 05493749
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可