少数民族の男系・女系系譜からみた初期天皇系譜

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  • ショウスウ ミンゾク ノ ダンケイ ・ ジョケイ ケイフ カラ ミタ ショキ テンノウ ケイフ

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抄録

<p> 記紀の天皇系譜は、700年代初頭に、中国皇帝の男系男子継承の影響を受けたうえで、文字で固定化されて権威化された。しかし、日本列島民族は500年代末ごろまでは基本的には無文字文化だったのだから、500年代末ごろまでの初期天皇系譜には、記紀成立時の男系継承観念が逆投影された、創作・変改・捏造などが含まれている。そこで、中国少数民族など無文字民族の系譜伝承形態を素材として、モデル論的に初期天皇系譜の実相を探る。</p><p> 父系の中国少数民族は、代々の父から息子への連鎖を「父子連名」として語る(唱える)。一方で、中国西南部には、現在も母系制だったり、今は父系制だが昔は母系制だった少数民族がいくつか存在する。私の2002年の雲南省孟連での、母系制を残すワ(佤)族社会の系譜調査資料などをもとにして、日本古代の古墳時代の大王(天皇)の系譜が、父系(男系)だけでなく、母系(女系)も併用された双系であった可能性が高いことを示した。</p>

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