当施設における耳下腺癌53例の検討

  • 谷口 彩香
    横浜市立大学附属市民総合医療センター耳鼻咽喉科
  • 畠山 博充
    横浜市立大学附属市民総合医療センター耳鼻咽喉科
  • 小松 正規
    横浜市立大学附属市民総合医療センター耳鼻咽喉科
  • 磯野 泰大
    横浜市立大学附属市民総合医療センター耳鼻咽喉科
  • 池宮城 秀崇
    横浜市立大学附属市民総合医療センター耳鼻咽喉科
  • 大氣 大和
    横浜市立大学附属市民総合医療センター耳鼻咽喉科
  • 折舘 伸彦
    横浜市立大学附属病院耳鼻咽喉科・頭頸部外科

書誌事項

タイトル別名
  • A Clinical Analysis of 53 Cases of Parotid Gland Carcinomas
  • トウ シセツ ニ オケル ジカセンガン 53レイ ノ ケントウ

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抄録

<p> 多彩な組織型を呈し, 異なる悪性度を示す耳下腺癌では, その予後も多様である. 当科治療例を通じ, 予後因子の検討を行うとともに, 治療の第一選択である手術において論点となる顔面神経の取り扱いおよび頸部郭清に関する指針を示すことを目的とした. 当科で2000~2020年に初回手術を行った耳下腺癌53例を対象に検討を行った. 病理組織型は13種に分類され, 唾液腺導管癌, 粘表皮癌がそれぞれ13例 (25%), 12例 (23%) と多く見られた. 組織学的悪性度別では高悪性度が54%と過半数を占めた. 単変量解析の結果, 予後不良因子として高悪性度, T3 以上, リンパ節転移あり, 病期 Ⅳ 期, 術前顔面神経麻痺が挙げられ, 特にリンパ節転移は強い予後因子と考えられた. 当科では, 顔面神経の取り扱いに関し「悪性の場合は基本的に全枝切除」から「剥離可能な場合は可及的に温存」へと治療方針の変遷があった. この変遷の前後での生存率には有意差は認められず, 温存例での局所再発の症例も救済可能であることから顔面神経は可及的に温存する方針で問題はないと思われた. 頸部郭清に関しては, 頸部全領域への転移リスクがあり, 全頸部郭清が適当と考えられた. 特に, 高悪性度かつ T3 以上の症例でのリンパ節転移率は高く, この高リスク症例においては術前頸部リンパ節転移陰性例であっても予防的頸部郭清の実施が望ましい. また, その郭清範囲の判断においては Level II 領域リンパ節の迅速診断が有用な可能性がある.</p>

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参考文献 (17)*注記

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