加圧蒸解法パルプ化によるみつまた紙の物性

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  • カアツ ジョウカイホウ パルプカ ニ ヨル ミツ マタ カミ ノ ブッセイ

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抄録

<p>みつまたは靭皮部分から得られる繊維が製紙原料として古くから利用されており,木本性靭皮利用植物の利用形態に分類される製紙用繊維植物である。その用紙は卵黄色の色相と独特の風合いを有する。原料となるパルプは,みつまたの枝を蒸して樹皮部を採取し,その表皮と甘皮を取り除いた白皮を蒸解することによって得られる。蒸解方法としては,量産する場合には一般に加圧法が用いられる。みつまた白皮の化学成分は,木材と比較してリグニンが少なくペクチンの含有量が多いことが特徴であり,蒸解における主な作用は,細胞間の接着物質として存在するペクチンの除去である。みつまたの蒸解に関しては,これまでに蒸解条件が紙質特性に及ぼす影響が報告されており,パルプ中に含まれる非繊維細胞の柔細胞が用紙の色相と強度的物性に大きな影響を及ぼすことが知られている。</p><p>本研究では,アルカリ試薬の水酸化ナトリウム添加量を変化させてみつまた白皮の加圧蒸解処理を行い,紙料中の柔細胞が手すきシートの色相及び強度的特性に及ぼす影響を調査した。シート中の柔細胞を光学顕微鏡及び電子顕微鏡で観察した結果,シートの色相の変化は,柔細胞自体の量よりも柔細胞内に含まれる色素成分量が大きく影響することが分かった。また,ゼロスパン及びショートスパン引張試験の結果から,水酸化ナトリウム添加率が増加するにつれて,シートの繊維本体強度が高くなり維間結合強度が低下することが分かった。また,目開きの異なるふるいを用いて繊維分と柔細胞を分別し,柔細胞を除去して作製したシートの物性及び柔細胞成分について調査した。</p>

収録刊行物

  • 紙パ技協誌

    紙パ技協誌 76 (4), 381-387, 2022

    紙パルプ技術協会

被引用文献 (2)*注記

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参考文献 (1)*注記

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