語りの時制のアスペクトにおいて類推が担う役割について

書誌事項

タイトル別名
  • Facteurs analogiques dans l’aspect des temps de la narration

この論文をさがす

抄録

<p>本稿では、フランス語の語りの時制-現在、複合過去、半過去、単純過去-に対して、文法的アスペクトが担う意義を、非表象的観点からエナクションの枠組みに依拠しつつ論じる。この枠組みでは、我々が感じる現実がどのように生じるかが研究される。エナクションの言語学によれば、言語は状況に埋め込まれた物理的活動であり、単語を連ねることによって意味の経験を生じさせる、あるいは意味の経験が生み出されるようにするものである。ラングとディスクールの区別は否定される。その代わりに、意味は、形態統語構造が課す概念の形成過程において、話者と対話者の中で構築されるものとして捉えられる。この観点から文法的アスペクトを扱う際には、予め概念化され、定義可能である事行を、遡って捉える視点については、これを時制の形式として区別することはしない。逆に、アスペクトを特徴付けるのに、声に出してあるいは頭の中で発音する際に確立されるような類推を用いることを試みる。こうした類推が形成されるのは、一方では1)文法的な主語-述語と、動作主(もしくは被動作主)-出来事との間であり、また他方では、2)談話の中で活用動詞が発音される位置と、動詞が喚起する相互作用の心的な形成(それは語りの筋立ての前景においてなされることもあれば状況を述べる背景においてなされることもある)との間である。</p>

収録刊行物

関連プロジェクト

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ