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- 池上 諒
- 新潟医療福祉大学 リハビリテーション学部 理学療法学科
書誌事項
- タイトル別名
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- Effects of thermal treatment on skeletal muscle atrophy
- オンネツ リョウホウ ニ ヨル キン イシュク ヨボウ コウカ ノ ケントウ ト ソノ メカニズム ノ カイメイ
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説明
<p>抄録背景・目的 近年、温熱療法は筋肥大を引き起こす可能性が示唆されており、積極的な運動が困難な患者への応用が期待されている。しかしながら、温熱療法による筋肥大のメカニズムの詳細は不明である。本研究では、温熱刺激負荷時の細胞内カルシウムイオン (Ca2+) に焦点を当て、温熱刺激による筋肥大のメカニズムを解明することにより、運動トレーニングに変わる新規筋肥大方法の開発を目指す。</p><p>方法 1)ラットのヒラメ筋を麻酔下で露出させ、Ca2+感受性蛍光指示薬を導入し温熱刺激負荷中の細胞内Ca2+濃度 ([Ca2+]i)を測定した。2)ラットの右下肢にチューブを巻き温水を灌流することにより温熱刺激を負荷した (30分を2日に1回、計8回負荷)。最終負荷から24時間後に筋を摘出し筋重量及び組織学的解析・生化学的解析を行った。3)マウスの右座骨神経を切除することにより徐神経モデルを作成した。実験1と同様の方法及びプロトコルで温熱刺激を負荷し、最終負荷から24時間後に筋を摘出し筋重量を計測した。</p><p>結果 40℃の温熱刺激負荷開始5分後より有意に[Ca2+]iが増加した。30分の温熱刺激負荷により筋タンパク合成経路が活性化し、30分の温熱刺激8回負荷後は筋重量の増加を認めた。一方で、温熱刺激は徐神経による筋萎縮を抑制しなかった。</p><p>考察 温熱刺激は健常な骨格筋を筋肥大させる一方、徐神経による筋萎縮を抑制しなかった。骨格筋の状態の違いが温熱刺激に対する応答を変化させることが示唆された。</p>
収録刊行物
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- 日本健康開発雑誌
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日本健康開発雑誌 43 (0), 87-92, 2022-06-15
一般財団法人 日本健康開発財団