ライム病の原因菌と媒介者のシュルツェマダニの遺伝構造の関係

DOI
  • 塚本 宝
    東京大学大学院農学生命科学研究科
  • 平尾 聡秀
    東京大学大学院農学生命科学研究科附属演習林秩父演習林

書誌事項

タイトル別名
  • Relationships between genetic structure of Borrelia,the causative agents of Lyme disease and the vector, taiga tick

抄録

<p>マダニ類は様々な人獣共通感染症を媒介するが、気候変動や野生動物の分布域の変化によって、近年世界各地で分布域の拡大が報告されている。マダニ媒介性感染症の動態を理解するには、マダニ類の集団履歴や、遺伝構造や保菌状況と地域の動物相の関係を解明する必要がある。本研究では、ライム病ボレリアを媒介するシュルツェマダニ(以下、マダニ)を対象に、①マダニの歴史的な集団動態、②動物相がマダニの遺伝構造とボレリア菌保持率に与える影響の解明を目的とした。2020年6月~9月・2021年5月~7月に北海道~関東甲信越の計18地点において、旗振り法でマダニをサンプリングした。マダニのミトコンドリア16S rRNAとCOI遺伝子をシーケンス解析し、ハプロタイプネットワークを構築した結果、3つのクレードに分かれ、北海道と本州で遺伝的な分化が見られた。Bayesian Skyline解析で集団の遷移年代を推定したところ、約2万年前に有効集団サイズの拡大が示唆された。本州の集団間の遺伝的距離に対して、哺乳類相の非類似度が有意な正の効果を示した。また、集団ごとのボレリア菌保持率に対して、シカ密度と鳥類の種数が有意な負の効果を示し、希釈効果の影響が考えられた。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390010997581401472
  • DOI
    10.11519/jfsc.133.0_603
  • 本文言語コード
    en
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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