選択的リグニン分解に伴う漂白は亜熱帯林の落葉分解を促進する

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タイトル別名
  • Bleaching of leaf litter due to selective delignification accelerates the decomposition in a subtropical forest

抄録

<p>菌類によりリグニンをはじめとする難分解性化合物が選択的に分解・除去されて落葉が白色化する現象は漂白とよばれる。落葉の漂白は本邦亜熱帯林で頻繁に認められるが、落葉分解のプロセスにおけるその重要性については十分に定量的に評価されていない。本研究の目的は,沖縄本島北部の亜熱帯林において、落葉の分解に伴う重量減少と化学組成の変化を、漂白部と非漂白部とで比較することである。スダジイ、イジュ、ヒメユズリハ、タブノキ、イスノキ、ヤブツバキの6樹種の落葉を材料として、リターバッグ法を用いて18ヶ月間にわたって分解過程を調べた。その結果、いずれの樹種においても、最初の9ヶ月間は,漂白面積の増加にともなって落葉重量は比較的速やかに減少した。その後の18ヶ月目までの期間は落葉重量の減少が緩やかになり,漂白面積も減少した。漂白部では、非漂白部よりも葉組織の重量減少が速く、酸不溶性残渣の含有率が低かった。この結果は、漂白部においてリグニンなどの難分解性化合物が選択的に分解されて重量減少が促進されることを示している。リグニン分解に伴う漂白は、亜熱帯林の土壌における炭素循環を促進する役割を果たすことが示唆された。</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390010997589355520
  • DOI
    10.11519/jfsc.133.0_493
  • 本文言語コード
    en
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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